接種年齢になったらすぐにワクチンを接種してください

4-5年ぐらい前からでしょうか、医療品の卸業者からのワクチン購入数に制限がかかることが明らかに増えました。注文してもワクチンが手に入らないのです。

このワクチン不足の根本は、国の医療費削減の方針が原因となっています。薬価(国が決めています)が下げられることなどで製薬メーカーの企業体力がなくなり、ワクチンが使用期限切れで廃棄になると赤字になるため、使い切れるぐらいの量のみを生産するようになったためです。決してむやみに増産しなくなりました。増産する製造ラインもないのかもしれません。


そんな現状下では、ある疾患が流行してワクチンを接種する人が一時的に増えたり、ワクチン製造段階の予想外のトラブルによる生産のストップなどがあると、たちまち市場ではワクチン不足がおこります。

そんなワクチン不足がこの4-5年でなんども起こりました。現在でもMRワクチン、BCGなど非常に重要なワクチンを含む数種類のワクチンが購入制限中です。

そして今後は国策緩和がない限りワクチン不足、ワクチン購入制限が悪化すると思います。


製薬メーカーはワクチン不足のときでも適正年齢の人が接種できる程度の量はなんとか製造してくれています。適正年齢で接種していなかった人が接種しようとしてもそれができない状態になります。

当院でも、当院かかりつけのこどもたちが適正年齢になっているのに接種できないという事態にならないように、ワクチン不足のときには、適正年齢で接種していなかった人や、他院のかかりつけの人には接種をお断りすることになると思います。まじめに接種している人が割を食う世の中にだけはしたくないと思っています。


こどもを持つ保護者の方たちができることは何でしょうか。
それは、接種年齢になったらすぐにワクチンを接種するということです。これが今後は特に重要になると思います。3歳までにすればいいからまだしなくて大丈夫とか、仕事が忙しくてまたいつかしようとか、ネットニュースでなんかこわいことが書いてあったからやめておこう(ほぼすべてエビデンスレベルの低いニュースか完全なフェイクニュースです)とかはやめてあげてください。


私たち医療者が特に残念に思うのは、予防できる病気にかかってしまったこどもをみた時です。ましてそれで後遺症をのこしたり、命を落としているこどもをみた時、なんとも言えない気持ちになります。そしてそういった方々を大学病院、こども病院で何人もみてきました。またワクチンの効果と副作用を論文で検証してきました。その上で申します。ワクチンは必ず接種してほしいと。接種できるワクチンはすべて接種してほしいと。もちろんワクチンで予防できない病気のほうが多いです。そんな病気になったとき仕方ないと思うしかありません。でも、ワクチンで予防できる病気にかかって命をおとしたとき仕方ないと思えるでしょうか?


私は感染症治療、感染症予防(ワクチン)には特に力をいれています。それが開業医の務めであると思っているからです。知識の不足、経験の不足で平和ボケしないように、感染症治療、ワクチンについて日々真摯に向き合い、論文で知識をアップデートしています。そんな院長を信じていただきたいと思います。再度申します。接種できるワクチンはすべて接種してほしい。


小児科医はあかちゃんこどもの味方です。しゃべることができないあかちゃんの味方であり代弁者でありたいと思っています。「がんばるからワクチンうってよね、そんな病気でしにたくないんだから」。